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Kina o' le キナオレ

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COSCINA BROTHERS COFFEE

culture#01  2015.7.30

特別な思いを込めてローストしたプカラニコーヒー

ホノルルでCoscina Brothers Coffee Companyを営むアルフレッド・コスチーナは、名ロースターでありながら自然環境に強いコーヒーの木の研究やアフリカの子供達の成長をサポートするためのコーヒー豆のフェアトレードプロジェクトを世界のロースター仲間と築きあげている。「今、となりに居る人も、まだ会っていない誰かも、同じように愛し助ける必要があるんだ。」彼のこの言葉通り、プカラニコーヒーが参加するハワイの絶滅危惧植物保護活動プロジェクトに共感してくれたアルフレッドが、心を込めて焙煎する素晴らしいオリジナルブレンドを、日本の皆様にお届けしている。ハワイの人々に愛され続ける彼のコーヒーには、"Roasted with Aloha"の精神が息づいている。

 

さて、ワイアルアコーヒー豆とコナコーヒー豆の特別なブレンドはPUKALANI BRANDのチームそしてロースターであるアルフレッドが考案したPUKALANI BRANDオリジナルのブレンド。アルフレッドはこのブレンドについて「初めて試みるブレンドだったけれど、世界的に人気のある酸味のあるコナと、ハワイのロコが愛するまろやかなワイアルアをこの割合でブレンドしローストして、こんな完璧なコーヒーが出来上がるとは想像もしていなかった。このバランスは完璧だね」と語り始めた。一般的に日本国内では、ハワイといえばコナ。しかし、ハワイではそうでもないようだ。「コナコーヒー豆はとても癖や酸味が強く、1日の中の特別な1杯ってところかな。ガブガブ飲めるものではなく、いわゆる食事の後のデザート感覚に1杯だけ飲むコーヒーだね。コナはとても素晴らしい豆だけど、ワイアルアは朝起きてから夜寝るまで飲み続けても飽きない美しいコーヒーだよ。ハワイのロコはワイアルアコーヒーの方が親しみがあるとおもうよ。まぁ、コナは高いこともあり、なかなか手が出せない人も多いのかな。」

 

特別な想いを込めローストしたプカラニコーヒーのコナヴァイブレンドはアルフレッドにとっても大切な作品であり、一つ一つ丁寧に焙煎をしてくれた。その味は見事であり、アルフレッドさん本人もお気に入りのよう。「コナヴァイは素晴らしいよ。ワイアルアの飲みやすさと、コナのユニークな香りが豊かに重なり合って、絶妙なバランスで癖になる味を作り出しているよ。よく考えてみればそもそもこの二つの木は家族なんだ。もともとカイルアコナに生息していたコナの木を、ある事件をきっかけにオアフノースショアに移植することになったんだ。コナという豆を存続させるためにね。土壌が変わると豆の味が変わる。土は育ての親だからね。それで出来上がったのがワイアルア。だから、ワイアルアはもともとコナなんだよ。育った環境でここまでコナの角がとれてまろやかになったんだ。面白いと思わないか?」とアルフレッド。土は育ての親。この考え方は島全体をひとつの生命体として考えるハワイアンならではの考え方で、その土や水、太陽や生物などの恩恵を受けて育ったハワイの豆を、それはそれはかわいい子供たちのように大切だと話されるのは、この土地のものだからこそかもしれない。

 

「アメリカ合衆国全土、どこを探しても商業用にコーヒー豆を栽培しているのはハワイだけなんだ。アメリカ国内で唯一のコーヒーが育つ環境。いわゆる赤道に近いかどうかなんだが、これを"コーヒーベルト"と呼ぶんだ。その中には有名なブルーマウンテンなんかもちろん入るんだが、アメリカにとってはハワイはコーヒーが育つ、とても貴重な唯一の州だからね。国を挙げて取り組んでいる感じだね。」とアルフレッド。アメリカのハワイにかけるコーヒー生産の市場は大きく注目されている。「私はハワイの豆だけではなくて、いろいろな国からの豆も焙煎するんだけど、やっぱり同じ土壌で育っている私の体はハワイの豆を好いているようだね。毎日飲みたくなるのはハワイの豆だよ。島国という共通点のある日本の皆さんにも、ぜひハワイのコーヒーを私たちのように楽しんで欲しいと思っているよ。」

 

特別な焙煎

多くの大手企業から依頼を受け、愛されるコーヒーを提供し続けるアルフレッド。何が彼の焙煎をここまで魅力的にするのか伺ってみた。「温度、時間、色、そしてスタイル。焙煎の完璧なタイミングはこれらと、豆の全体的なハーモニーと一粒一粒の表面の凹凸を見極めるんだ。コーヒー豆によって個性は大きく違うんだ。それぞれの豆の焙煎中の変化をグラフにしてみて、その豆の完璧なタイミングを見極める。それぞれの豆に私なりの特別な技術を施して、その豆自体の旨味を最大限にひきだすんだ。」そういって、アルフレッドが自社が保有する焙煎機を見せてくれた。「こいつが、いい仕事をしてくれるんだ。もちろん私がタイミングを教えてあげるのだけど、どんなコーヒーでも優しく扱ってくれるんだ。」愛する焙煎機にも敬意を表したアルフレッド。楽しそうに作業をするスタッフや、積極的に焙煎についてを話すアルフレッドを見ていて、彼の焙煎が特別な理由が分かる気がしてくる。アルフレッドの技術や長年積み重ねてきた経験や知識は、もちろん彼の焙煎を特別にする要因だろう。ただ、それだけではない、豆や人に対する愛、コーヒーに関わる全ての人々や環境に敬意を表する彼の人柄、そして大切にする彼の志が彼の焙煎するコーヒーの味に染み出しているに違いない。

 

コナとワイアルア

「プカラニのコナヴァイで使用している豆は最高級品のコナとワイアルアで、なかなかここまで質のいい豆だけを使っている商品はないから、とても特別なんだよ。他の企業の商品はそこまで豆自体に重きを置かず、いくらで売るということを重点において選豆しているから、プカラニは喜んで楽しく焙煎させてもらったよ。味もいいのに、そのクオリティーに比べて値段はやすく、本当に羨ましいコーヒーだよ。」と楽しそうにハワイの豆について語り始めた。「豆の話をすると、実はそれぞれの豆自体に特別大きな違いはないんだよ。コナは日本でとても有名だね。コナの起源は1828年のサウスアメリカからの輸入からその歴史が始まるんだ。最初は誰もみんなハワイなんかでコーヒーが育つなんて想像もしていなかったんだよ。始めのコーヒーの木の植樹は雨がよく降りきれいな水と太陽の日照時間、そして風がいい感じに吹くハワイの山の南側に植えられたんだ。日中はあたたかく、夜は涼しい、そしてハワイに植えられたコーヒーの木の最も影響された要素はハワイが火山の島であったこと。火山性土はとても栄養価が高く、コーヒーの豆の質を上げ、アフリカの豆になかった特別な他にはない芳醇な香りを作ったんだ。」それからのハワイでのコーヒー栽培は今に至るまで完璧な経緯をもち、コナに関しては世界中の人々に愛されるブランドとなった。「現在の完璧なコナを作るのに3年、その木が育ってコナのコーヒー豆が収穫できるようになるまで5年かかったんだ。小さな島の先人の苦労に敬意を票すよ。」

 

コナの起源ついてのお話はとても興味深い、だがやはり気になるのは日本人にはあまり聞きなれないワイアルアについて。アルフレッドはこう話してくれた。

「さっきも話したと思うけど、ワイアルアとコナはもともと同じ木なんだ。育て上げた大切なコナの木が、虫などのアクシデントによって存続を断たれそうになっていたのを守るためにノースショアに移植されたのがワイアルアコーヒーといわれて、愛されているんだ。コナとワイアルアの味を変えた一番の理由は、コナが火山性土に恵まれユニークな味になったのに対して、危機を逃れるために急遽移植された地が、広大な敷地を持ったノースショアのサトウキビ畑だったこと。ワイアルアの木の土は、もともとサトウキビを甘く美味しくするために酸性に改良された土だったんだよ。ノースショアの降水量や気温、標高なども関係して、同じ木なのに全然違うコーヒー豆を作り出したんだ。コナは酸味があり粘りけと苦味があるよね?ワイアルアはコナに比べてフレーバーが少ないけれど、酸味がなく甘みがある、とても飲みやすいコーヒーになったんだ。原種であるアフリカの豆とは似ても似つかない味だけど、元は同じ木。育つ環境でここまで違う物が出来上がるんだ。本当に感動しないか?」そう話したアルフレッドは少し興奮気味に、でも淡々とハワイのコーヒーの素晴らしさを語った。

 

未来に変わり続けるフェアトレード

「ハワイの豆は特別な物じゃない。」今までよりも少し真剣な表情で語り始めた内容は、アルフレッドが行うフェアトレードについてだった。「ハワイはコーヒー豆の木の栽培面積がどの国よりも小さく、生産量もどの国よりも少ない。そして人件費がどの国よりも高い。実際、ハワイのコナはパウンドで50¢なのに対してグアテマラは5¢。それだけでも大きな違いだよね。ハワイ全土では年間750万パウンドの豆を生産していて、コナはうち300万パウンドだけ。これはカルフォルニアの中心で消費されているコーヒーの数日分にも満たないんだ。正直、豆がいいから高いのではなくて、こういった立地的条件でハワイの豆の値段が高くなっているんだ。どの国の豆も同じくらいユニークで同じくらい質は高いし、同じくらい手間がかかっているんだ。だからどれがいい、悪い、は決められないのがコーヒーなんだよ。ただ、貧困な国は労働に対する報酬の割合がものすごく悪かったり、企業が直接農場に行って安値で取引したりで、値段の均衡が取れなくなっているのが現状なんだ。そこでフェアトレードという形で、どの国の豆も決められた基準で輸出入ができるようにしたんだ。ただ、それに関わる人々はいい人だけじゃないのが現状。フェアトレードを利用して高い豆をトレード価格で買取したりね、『あぁ量が生産できればいいのか』とか『人件費や農地の管理費の割にフェアトレードの値段の割が合わない』と言って、その土地でもっと短時間で栽培できてお金になるトウモロコシやサヤエンドウに変えてしまう農場も出てきたんだ。」貧困な国や人々に対してはフェアトレードするのはいいかもしれないけれど、そうでない人もいるのは現実。新しい挑戦と唄い、アルフレッドはさらに先にあるコーヒーの市場の未来を考えているようだった。

 

日本との関係

取材の最後にアルフレッドは私たちに温かい言葉をくれた。

「日本とのビジネスはもう何年もさせていただいているけれど、人々は素晴らしくとてもいい関係を築いているよ、本当に感謝しているんだ。その中でもPUKALANI BRANDは唯一ハワイの事を深いところから考えてくれた大切な商品。コナヴァイブレンドがあなたのお気に入りになると確信しながら焙煎させていただいているよ。ハワイのコーヒーは何年もの歳月をかけてワイアルアに行き着くまで改良されてきた、手間ひま掛けられた特別なコーヒー。だからこそ、その味を100%引き出す特別な焙煎をほどこしたコナヴァイは長年付き合っていける味わいに仕上っているから。毎日楽しんでもらえれば、これ以上嬉しい事はないね。」

 

interview 2015.04.22

photographer Takuma Utoo