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Kina o' le キナオレ

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WHAT WE DO FOR HAWAII

nature#01  2015.8.20

楽園、ハワイ。

ハワイ。楽園と思われがちなこの島国には、他の国では見ることのできない多くの珍しい命が息づいている。わたしたちは、注目されてきた海洋生物や美しい海の景観だけではなく、その豊かな環境を作り出している根本にあるAHUPUA'A(アフプア:詳しくはこちらから)の命のサイクル上に存在する、太古からハワイ諸島を支え創り出してきた原生植物たちに注目。冒頭に記述した”楽園と思われがち”というフレーズはあながち間違いではなく、知れば知るほど過酷な状況に直面した、楽園とは程遠いハワイという島国が見えてきた。

2015年の春。プカラニブランドの活動を通して得た皆様からの売り上げや募金などの協力をお届けに上がるため、スタッフはハワイ州立ハワイ大学内のライアン植物園へ訪問。我々の活動に協力し良くしていただいているネリーに、ハワイについて詳しいお話しを伺うことができた。

 

鳥や虫、葉のこすれ合う音を爽やかな風が運んでくる植物園内。そこに存在する小さなラボから笑顔で出てきてくれたネリー。ハワイについて、そして自分たちの活動について詳しく話しはじめた。

「ハワイアン レア プラント プログラム(HRPP)はハワイ大学の植物園内で活動するライアン植物園で活動を行っています。すべてのハワイの植物たちのために、そして最も重要としている絶滅の危機にさらされている植物たちのために、それを守り、助け、危機から救出するために発足した団体です。ハワイを守る大切な要といったところかしら。マイクロプロポゲーションと言われるプロジェクトでは、植物の種や植物の組織そのものからクローンを作り出して、いわゆる”環境のコントロール”を取り持っています。シードプログラムでは、今あるハワイの自然から採取してきた種を保護、保管、そして研究ののちに発芽させ、彼らの住むべき最適な場所が見つかりしだい、森に返してあげる活動も行っています。」

「パートナーは、ハワイ政府や企業、ハワイ州と個人投資家。これらの方々からの支援は研究活動を継続するための資金や、ラボを存続させるための運営費などにあてられていて、プライベートコミュニティーからの援助が大きな支援につながっているの。建築中の新しいラボも、一般の方々からの募金によって着工し始めたんです。本当に感謝しているわ。今は6人のスタッフと1人のパートタイム、そして4人のハワイ大学の生徒さんたちのヘルプで、ハワイ全島の植物の保護活動をしています。」

たった11人という小さなグループで、人間がここまで追い込んでしまった現在のハワイの姿を、できるだけ悪化させないよう、昔の姿をできるだけ取り戻そうと頑張っている。ハワイの自然という繊細な命。そこに住む人たちの支援を大切にし、重い責任を背負って活動に取り組む姿は心を打たれる。表面的にではなく、やはりハワイ好きとしては深いところにまで愛を注ギたいと、お話を聞いていて考えさせられた。

 

ハワイを守るという情熱

ネリーのお話を伺った後、ラボのスタッフ達と会いお話をする機会をいただいた。

「今、僕がやっているのは採取してきた植物を増やしてあげる作業をしているんだ。小さなことにまでしっかり気を配って、この子達のために試験管内に完璧な環境を作ってあげているんだ。で、ご飯になる栄養たっぷりの溶液ですくすく育たせるんだ。」

スタッフが行っている作業の一つ一つはとても小さく、繊細で、気が遠くなりそうだが、この彼らの費やすほとんどの努力と時間が、大きな成功とハワイへの大きな貢献につながるのだと思う。

「小さな作業だよ、見えるかな?これは採取してきた大切な植物から、成長点を見極めて組織を採取しているんだ。ここではいろいろな方法を使って、大切な植物の複製や育成に努めているよ。種から発芽や、表面の組織からのクローン、胞子から育てたりね。」

 

 

スタッフの一人に、「特別な植物のお話をお聞かせください」と質問したところ、興味深いお話をしてくれた。

「カナルア・カホオラ・ヴィンセス、この植物について研究を進めているんだけど、この子はもうハワイ全土の自然で1つしか野生植物として確認されていないの。マウイの進入禁止区域の森には2つあったと昔報告を受けたこともあったけど、正式には本当一つだけ。それももう危険な状態みたいなの。」すかさず隣で作業中のスタッフが「もうそれも死んじゃったでしょ?あれ、そんな話をしてなかったっけ?」と。彼に続きスタッフ達が「うそ〜!まだ残っているわ!一つだけ、残っているのよ!』と、やはり植物の話で盛り上がるのはこのラボの特徴だろう。

「私たちのしていることは、命を扱うとても難しい大変な仕事よ。ひとつの命が消えると、とても悲しいわ。」そう話を終わらせたスタッフたちは、また作業に戻った。

スタッフは皆楽しそうに、でも作業中は真剣に消えゆく命と向き合っていた。全員が志をもって情熱的に作業する姿は凛々しく、本当にこの島国を心から愛しているんだなと言葉なくともしっかりと伝わってきた。

 

ラボから歩いて数分の場所にあるシードプログラムの温室には、採取されてすくすくとその芽を出した小さな命たちが大切に育てられていた。そこの管理に当たっていたスタッフは、ひとつひとつを優しい芽で見守りながら、こう話した。「僕たちの宿題は、この子達にとっての成功を手助けしてあげることなんだ。大きくなるまで、大自然の過酷な環境でしっかりと育って新しい命を自分で増やせるようになるまで見守って、彼らの住むべき森に帰してあげるんだ。」


絶滅危惧種として認定されたハワイの原生植物達は、この温室で大切に育てられ、しっかりとその根を伸ばしていた。小さな命が森で多くの子孫を残せるまでに時間はかかるかもしれないが、未来への小さな光はしっかりと輝いていた。

 

知ってほしいこと。

「ハワイはとても特別な場所です。」と、ネリー。「この島はまだまだ進化途中で、他の場所や環境では見ることも存在することもできない多くの植物約1400種が、ハワイには生息しています。都市開発や農業の発展、伝染病など外来種からの病気によって、ゆっくり、でも確実にハワイの原生植物は絶滅の道をたどっているのです。そして、多くの植物はすでに絶滅してしまっているのが現状。ハワイを創りハワイを「これがハワイ!」と思わせる特別なものにしてくれているこの植物達に、してあげれることは多くあります。ここに住む人々のためだけではなく、私たちが生きるこの環境に息づく植物という命のために、この命を絶滅という危機から守るために、日々私たちは時間と努力をこのハワイにつぎ込んでいます。」

ネリーはそれ以上のことは言わなかったが、彼女の目は優しくも真剣にメッセージを伝えてくれた。大好きなら知ってほしい、大好きなら手を貸してほしい。ハワイが好きだからこそできることが、私たちにはあるのだ。

 

本当にハワイのことを思い、ハワイのために時間と努力を費やす。本当にハワイが好きだから知ってほしいハワイの現状、そしてハワイを守る活動が小さくも強い志を持った人々によって行われていることを、多くの人に知っていただきたい。

 

 

interview 2015.04.22

photographer Takuma Utoo